White Snow
しばらく飲んでいると、飲み過ぎた同期の男が私の肩を組んできた。

「倖、寂しいもん同士、付き合うか?」
「寂しくないし」
「強がらなくていいぞ」
「強がってないし。近いから。離れてよ」
隣に座って退かしても退かしてもしつこく肩を組んでくる同期の腕を押しやる。しかし、へらへらした笑い方をされた。
イラついた私は彼の顔を睨み付ける。

「寂しいのは好きな人の隣に自分がいれないことだよ。私の隣に好きな人がいないことだよ。
その人でないなら、だれがいたって、いなくたって同じだよ。だから、離れて!」
遠くに行ってくれるように、思い切り腕を押す。

すると、同期のへらついた顔が驚いた顔になった。

「うわっ!冗談だよ、冗談!ごめん、倖。泣くなよお」
同期が慌てている。
同僚の子たちが同期を怒っている。
「ごめん、ごめんよお」

先程までところっと態度をかえておろおろと謝る同期を見つめる。 
なんなんだ、こいつ?
と思いつつ、飲み過ぎたのか?頭が回らない。
こめかみに手を当てて少し押さえる。
視界がぼやけてきた。


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