うさぎ系女子はライオン系男子に翻弄されて
「好き…?」


呆然とする。

好き、って、あの、「好き」?

人生で一度も触れたことのない世界。「レンアイ」の世界。

わたしはいま、そこに足を踏み入れようとしているのかもしれない。


「東雲さんのこと、前から好きだった。顔も好みだし、誰とも交わらない感じとか、天然なところとか、派手すぎないところとか、すぐ赤くなるところとか」


え、ええええええ?

王子様が。あの王子様が。
なんでそんなにわたしのコンプレックスを知ってるの?!


「同じクラスになれてうれしかったし、髪の毛が絡まったとき、チャンスだと思った。で、俺のこと『王子様』とか言うし、これは両想いかなと、付き合えるかなと思ったんだけどな…。友達、か…」


りょ、両想い?つ、付き合う?そしてしれっと「王子様」も聞かれてた!!
わたしは焦って口をはさむ。


「服部くん」

「うん」

「ごめん、わたし、レンアイ、のこと、さっぱりわからないの」

「…え」

「だから、まずはやっぱり、お友達から始めさせていただきたく!」

「…」


ごめんなさい、服部くん。わたしは友達を作るのでさえ緊張するのに、レンアイなんて、無理だと思うんだ…


黙り込んでしまった服部くんの瞳が揺れるのが見えた。
あと、なんか、ほっぺた赤い?


「わかった。そういう天然なところが好きだから。友達から始めよう」
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