うさぎ系女子はライオン系男子に翻弄されて


こうしてわたしは、服部くんとお友達になりました。


今日も、屋上でお昼に誘われた。

服部くんは、女の子にうける話題とか、雰囲気を持っているから、コミュ力のないわたしでも、気持ちよく話せる。


「服部くんはさ、、」

「ちょっと待って。その呼び方やめようよ。友達なんだから」

「呼び方?」


今日は、なにやら服部くんの顔が真剣だ。


「獅子、って呼んでよ。俺も、宇佐って呼ぶ」

「しし、くん…」

「もう一回」

「獅子くん…」


ふふっ。

服部くん、いや、獅子くんが、嬉しそうに笑った。

屋上にいるときの獅子くんは、なんだか教室にいるときと雰囲気が違う。
たとえるなら、
教室にいるときは王子様。
そして、屋上にいるときは、ライオンだ。


「名前で呼んでほしかった、ずっと」


こうやって、ドキッとするようなことも言うんだ。


「わたしも、獅子くんに名前で呼んでもらえるなんて、変な気持ち」

「なにそれ」


獅子くんはまた笑う。

そう、屋上にいるときの獅子くんは、よく笑う。


「獅子くん」

「うん?」

「獅子くんは、どうしてライオンになるの?」


言ってから気が付いた。
なんだ今の聞き方!恥ずかしい。やり直したい。


「ライオン?」




「その、、あの。屋上にいるときの獅子くん、ちょっと違うから」

「そっか、それでライオンね」


また笑う。
獅子くんの笑い方、好きだ。


「それなら宇佐は、ウサギだね。」
< 12 / 22 >

この作品をシェア

pagetop