うさぎ系女子はライオン系男子に翻弄されて
特訓は、さっそく次の日の朝から始まった。
通学路、わたしは数年ぶりに玲と二人で歩いてる。
「今日も天気がいいね~」
「だめ。カップルで天気の話しても盛り上がんないだろ」
「え、じ、じゃあ、「ね、眠いね?」
「はあ…」
コミュ力弱のうさぎには、難しい特訓です…(泣)
「手、つなぐぞ」
え?そんなことまで玲と練習するの?!
声を出す間もなく、玲の手がすばやくわたしの手に絡んだ。
「これ、恋人つなぎって言うから覚えとけ」
玲の細くて長い指がわたしの指に絡む。
その動きは慣れていた。
玲、こんなこともできるんだ…。
幼なじみの意外な一面に少しドキッとする。
「緊張する」
「…俺相手にでも緊張してたら他の奴とできないだろ」
「たしかに」
緊張して汗ばんだ手のひらを玲に気づかれたくなくて、少し離しながら歩いた。
ふと気になって、聞いてみた。
「玲は、レンアイ、したことあるの?」
「恋愛、というか、好きになったことならね」
「え、いついつ?」
「現在進行中」
「…え」
玲がこっちを見る。
玲の特技は昔から、ポーカーフェイス。
だから、本当は何を考えているのか、幼なじみでもわからない時がある。
今、とか。
「なんだよその顔。俺だって好きな人くらい、いるっての」
「びっくりした!そっか、そうなんだ。好きな人いるんだ。じゃあ、玲の練習にもなるね」
「…っ」
わたしにも、玲にも好都合な特訓。その時のわたしは、そう楽観していたけど。
そうではなかったみたいだ。