うさぎ系女子はライオン系男子に翻弄されて


あすちゃんに、不安な気持ちを告白すると、変な顔をされた。


「宇佐、それはおかしいよ。だって宇佐は王子に告白された側でしょ?どーんと構えとけばいいの」

「うーん…。そういうんじゃないんだけど…」


あすちゃんにはわからないだろう。

だってあすちゃんは男子からも女子からも人気者だから。



友達の少ないわたしにとっては、貴重な三人目の友達が、わたしのことを嫌いになってほしくない。その一心なんだ。

さっき、目をそらした獅子くんの冷めた表情は、怖かった。

屋上の時とは全く違う表情。



「…あすちゃん」

「うん?」

「わたし、獅子くんと友達、やめようかな」

「はあ?」



梅雨のせいでけだるくなった頭は、変なことをつぶやく。

(獅子くんは宇佐のこと、憎んでるよ)
(告白したのに、偉そうに断って)
(地味系女子の分際で)



ペチン。

あすちゃんがわたしの手をたたいて、我に返る。


「友達って、やめられるもんじゃないから」

「…え?」

「彼氏彼女の関係ならともかく。友達なんて、一回なったらなかなか終われないよ」



それに…。

あすちゃんが続ける。



「服部、宇佐のこと、だーい好きだよ。視線見てたらわかる」

「視線?」

「さっきだって。告白シーン見られて、めっちゃ傷ついてたじゃん。好きな子に自分が告白されてるとこ見せるの、けっこうくるもんだよ」

「そうなの…?」

「うん。宇佐は、どーんと構えて、獅子くんが好きになったらそこでお返事すればいい、気楽な立場なんだから」

「ふふっ。わかった」


あすちゃんの言い方が面白くて、わたしは思わず笑ってしまった。



「(…服部、絶対この笑顔に惚れたな)」

「え?」

「なんでもない笑」


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