うさぎ系女子はライオン系男子に翻弄されて

次の日。

わたしは、服部くんが一人になった隙を探していた。

でも、さすが王子様。
いつも女子や仲のいい男子に囲まれていて、わたしみたいな地味女子が入っていける隙間なんてどこにもなかった。

しかも、近づけたところで、どうやって話しかけよう…。

その日は、そのことばっかり考えていて、授業に集中できなかった。



お昼休み。

一緒にお弁当を食べる友達がいなくて、屋上に向かった。

(屋上でお昼、ちょっと憧れだったんだよな)

ぼんやりとそんなことを考えながら屋上に上がる。



「あ…。」

思わず声を出していた。



「服部くん」

彼は一人で、そこにいた。


「東雲さんだ!やっほー」

「お昼…、いつもここで食べてるの?」

意外だった。人気者の彼のことだ。
集団で食べているのかと思ったら、まさか屋上で一人で。


「うん。ちょっと一人で休憩する時間も欲しいんだ」

「じゃあ、邪魔しちゃ悪いよね」

「ううん。東雲さんなら、いいよ。一緒に食べよ」


服部くんは、白い歯をのぞかせて笑った。
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