うさぎ系女子はライオン系男子に翻弄されて

「これ。このまえ、髪の毛が絡まったとき、とれちゃった俺の第二ボタン。
 東雲さん、走ってどっか行っちゃったから、渡せなかったんだけど…」


きらりと光る、金色の第二ボタン。


「あげる。俺らの出会いの証」


照れくさそうに笑う服部くんを、驚いて見上げる。


「そ、そんな、出会いの証って…」


出会い…。友達…。
わたしと服部くん、もう友達になれたってこと?



わたしの手にのった、その第二ボタンを見ていると、涙が出てきた。


「うっ…」

「東雲さん?!」



「服部くん…わたしと友達になってくれて、ありがとう!!」


涙をぬぐいながら、懸命に笑って、わたしはそう言った。

人気者の服部くんが、名前を憶えていてくれた。
ハグしてくれた。
お昼に誘ってくれた。
そして。友達になってくれた。

服部くんにとっては何でもないことなのかもしれないけど、わたしにとってそれは、奇跡なんだ。

そんな感謝の気持ちを、精一杯伝えた。



「…」


涙をぬぐってもう一回服部くんを見ると、なぜか黙ってうつむいてた。


「服部くん?」


すると彼は、すごい勢いで顔をあげて、すごい形相になって言った。


「ごめんね。俺さ、我慢できないかも」


「…え?」
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