優しい微笑みに騙されて
#12
苦しい…痛い…
『ユカ』
嫌だ…怖い…豊田先輩は…尋は…
『ユカ』
誰が、私を、呼んでるの?
「ユカ……‼︎」
1番最初に視界に入ったのは、私と目があった瞬間ににっこり笑ってくれたトールさんだった。ゆっくり体を起こすと、近くの椅子に座っていたレンさんとユーリさんとも目があった。
「ユカ。目覚めてすぐで申し訳ないけど、3日後に行う月1のパーティーで、改めてユカを紹介しようって思ってる。国民でユカを知っている昔からいる人たちは全体の3分の1くらいだからね。しっかりとユカの存在について説明するつもりだ」
レンさんはそう言うと立ち上がり、ふんわりと微笑んで言った。
「それまでに、とりあえずエスコートしてもらう人を決めておくように」
それだけ言うと、レンさんは部屋を出て行った。昔、お父さんがレンさんはとても忙しいと言っていた気がする。もしかしたら、私が目覚めるまでずっと待っていてくれていたのだろうか。
「ユカ‼︎僕がエスコートしてあげよっか?」
突然ユーリさんは立ち上がり、私の手を握ってキラキラの笑顔を浮かべる。なんて断れば良いんだろうか…よくわからない。
「ユーリ。君はここ最近溜め込んでた分色々とやることがあるだろう?今はユカの面倒は俺が見るからユーリはそっちをやってきな」
簡単に訳すと早く出て行けと言っているようなトールさんの言葉に、ユーリさんは複雑そうな表情で出て行く。そしてトールさんと2人っきりになった。
「あの、尋と豊田先輩は……」
「生きてる。あの2人はゲームクリアとして元の世界に返しておいた。それで大丈夫かな?」
トールさんのその言葉に私はホッとする。もしかしたら、殺されたのではないかと心配になった。
「それと、2人にユカに何か伝えたいことがあるか聞いたら2人とも、また会おうだってさ。元の世界に戻ったら強制的に記憶を消されるからユカのことは覚えてないし、一生叶わないかもしれないけどね」
トールさんはそう言うと、私の頭を軽く撫でる。
「ユカは、俺たちとずっと一緒にいればいい」
トールさんのその言葉は、少し怖くもあり、少しうれしくも感じた。
「それで?ユカは誰にエスコート頼むの?俺でよかったら、やりたいんだけどな〜。他の2人よりかは、安心できるでしょ?」
トールさんの言う通りだった。レンさんもユーリさんも、怖いという感情が大きすぎて不安になる未来しか見えない。
「トールさんさえ良ければ……」
「それ」
私の言葉をトールさんが途中で遮る。
「さん付けはおかしいと思われるし、俺が気に食わない」
確かに、義理とはいえ一応兄のトールさんにさん付けしていると、周りから見たら不自然だ。
「えーと、そしたら、トール兄様…?」
色々考えた末辿り着いたのがそれだった。トールさんはにっこりと微笑む。
「それでよし。ユーリのことも周りの目があるときはそうした方がいいかもね。レン様も、周りの目があるときは様付けした方がいいかもしれない」
トールさ……トール兄様はそう言うと立ち上がって口を開く。
「この部屋、ユカのだから自由に使っていいよ。クローゼットにユカに似合いそうな服が入ってるから。下着とかもあるし、流石に女の子のクローゼット漁るわけにもいかないから、ユカの家のクローゼットの中の服とかは1番下の引き出しに全部入ってる。俺は見てないから安心してね?」
トールさ……トール兄様はそう言うとにっこり笑った。クローゼットを漁られてたら、流石に引く。そこの点では少し安心した。
「ユカのこの部屋の隣は俺の部屋だから何かあったら気軽に来てね」
そう言ってトール兄様は部屋を出て行く。気づけば私は、トール兄様への恐怖心は1ミリもなかった。
『ユカ』
嫌だ…怖い…豊田先輩は…尋は…
『ユカ』
誰が、私を、呼んでるの?
「ユカ……‼︎」
1番最初に視界に入ったのは、私と目があった瞬間ににっこり笑ってくれたトールさんだった。ゆっくり体を起こすと、近くの椅子に座っていたレンさんとユーリさんとも目があった。
「ユカ。目覚めてすぐで申し訳ないけど、3日後に行う月1のパーティーで、改めてユカを紹介しようって思ってる。国民でユカを知っている昔からいる人たちは全体の3分の1くらいだからね。しっかりとユカの存在について説明するつもりだ」
レンさんはそう言うと立ち上がり、ふんわりと微笑んで言った。
「それまでに、とりあえずエスコートしてもらう人を決めておくように」
それだけ言うと、レンさんは部屋を出て行った。昔、お父さんがレンさんはとても忙しいと言っていた気がする。もしかしたら、私が目覚めるまでずっと待っていてくれていたのだろうか。
「ユカ‼︎僕がエスコートしてあげよっか?」
突然ユーリさんは立ち上がり、私の手を握ってキラキラの笑顔を浮かべる。なんて断れば良いんだろうか…よくわからない。
「ユーリ。君はここ最近溜め込んでた分色々とやることがあるだろう?今はユカの面倒は俺が見るからユーリはそっちをやってきな」
簡単に訳すと早く出て行けと言っているようなトールさんの言葉に、ユーリさんは複雑そうな表情で出て行く。そしてトールさんと2人っきりになった。
「あの、尋と豊田先輩は……」
「生きてる。あの2人はゲームクリアとして元の世界に返しておいた。それで大丈夫かな?」
トールさんのその言葉に私はホッとする。もしかしたら、殺されたのではないかと心配になった。
「それと、2人にユカに何か伝えたいことがあるか聞いたら2人とも、また会おうだってさ。元の世界に戻ったら強制的に記憶を消されるからユカのことは覚えてないし、一生叶わないかもしれないけどね」
トールさんはそう言うと、私の頭を軽く撫でる。
「ユカは、俺たちとずっと一緒にいればいい」
トールさんのその言葉は、少し怖くもあり、少しうれしくも感じた。
「それで?ユカは誰にエスコート頼むの?俺でよかったら、やりたいんだけどな〜。他の2人よりかは、安心できるでしょ?」
トールさんの言う通りだった。レンさんもユーリさんも、怖いという感情が大きすぎて不安になる未来しか見えない。
「トールさんさえ良ければ……」
「それ」
私の言葉をトールさんが途中で遮る。
「さん付けはおかしいと思われるし、俺が気に食わない」
確かに、義理とはいえ一応兄のトールさんにさん付けしていると、周りから見たら不自然だ。
「えーと、そしたら、トール兄様…?」
色々考えた末辿り着いたのがそれだった。トールさんはにっこりと微笑む。
「それでよし。ユーリのことも周りの目があるときはそうした方がいいかもね。レン様も、周りの目があるときは様付けした方がいいかもしれない」
トールさ……トール兄様はそう言うと立ち上がって口を開く。
「この部屋、ユカのだから自由に使っていいよ。クローゼットにユカに似合いそうな服が入ってるから。下着とかもあるし、流石に女の子のクローゼット漁るわけにもいかないから、ユカの家のクローゼットの中の服とかは1番下の引き出しに全部入ってる。俺は見てないから安心してね?」
トールさ……トール兄様はそう言うとにっこり笑った。クローゼットを漁られてたら、流石に引く。そこの点では少し安心した。
「ユカのこの部屋の隣は俺の部屋だから何かあったら気軽に来てね」
そう言ってトール兄様は部屋を出て行く。気づけば私は、トール兄様への恐怖心は1ミリもなかった。