優しい微笑みに騙されて
#2
『ゆか、君はね、少し不思議な力を持ってるんだよ』
『パパ、ふしぎなちからってなぁに?』
『今はまだ知らなくて良いんだよ』


『お父さん‼︎嫌だ死なないで‼︎』
『ゆ…かァ゛、ごめ』


「……っ‼︎」
まるで何かを予言するかのように、昔の夢を見た。なぜ、今この夢を見るのだろうか。
(あれ?そういえば、私は学校にいたんじゃ…)
意識がはっきりしてきた所で違和感を感じる。

"ここはどこだ"

やけに広い部屋。天井はオシャレなシャンデリア。私が寝ていたベッドもかなり柔らかく、高級感を出している。確実にわかったことはひとつだけ。ここは学校でも家でもない、別のどこかだ。
「おはよう。よく眠れたかい?」
さっきまで、つい数秒前まで誰もいなかった場所に人が立っていた。その容姿に釘付けになる。かなり整った容姿をしていた。軽く青がかかったような銀髪は綺麗に手入れされており、透き通るような青色の瞳、服はどこぞの物語の王族が来ていそうな高級そうな服を身に纏っている。完全に、本から出てきた王子様だ。


「あぁやっぱり君はすごく美しいね」


突然、目の前にいる男性が私の髪を触りながらそう呟く。その中の1つの言葉に少し違和感を感じる。
(やっぱり?)
まるで、それは昔にもあっていたかのような、昔から私のことを知っていたかのような口調だ。
「あの、何を言って」
「あぁそうだ。君にお願いがあるんだけどね」
私の言葉に被せるように彼は口を開く。
「お願い、ですか?」
私がそう聞くと彼は優しい微笑みを浮かべる。
「そう。ストライア王国の現国王、レン・イリス・ストライアからのお願いだ」
< 4 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop