王様に逆らった時【完】
「っ、想ちゃん、恥ずかしいよっ、」
恥ずかしさのあまり想ちゃんの胸を叩く。
…こんなに密着したのいつぶりだろうっ
ドキドキして息の仕方が分からなくなりそう。
「黙れ。それ以上騒いだら落とすぞ。」
その言葉に息を呑む。
無表情で、体育館を歩いて廊下にでる想ちゃん。
私は大人しくお姫様抱っこされているしかなかった。
背中から伝わる想ちゃんの男らしい腕に、神経が持っていかれる。
想ちゃんを見上げると長いまつ毛影を落として、綺麗なフェイスラインが見える。
…いつ見てもカッコいい。
こんなの痛みも忘れてしまうほどのご褒美じゃん。
体育館を出ても、人はたくさんいる。
集まる視線と、上がる悲鳴にどうしようもない気持ちになって下を向く。