王様に逆らった時【完】
「おい、何してんの、置いてくぞ。」
私が歩くのが遅すぎて、痺れを切らす。
…だって想ちゃんのカバンが重たいんだもん。
想ちゃんと私が毎朝一緒に登校する理由はただ一つ、私が想ちゃんの荷物を持って学校まで行くため。
いわゆるパシリだ。
物心ついたときから想ちゃんは私の王様だった。
従わないと嫌われる。
幼い頃から想ちゃんのことを好きな私は、彼の言ったことに従うしかなかった。
こうしてカバンを持つだけで、一緒に学校に行けるだけでも嬉しいと感じてしまう。
「そ、想ちゃん」
想ちゃんの半歩後ろから、話しかける。
歩くのが早すぎて、隣に並ぶことはできない。
「何。」
「あ、あのさ、スカート。もうちょっと短くしていいかな?」
私のスカートの丈は、膝下くらい。
でも女の子たちはみんな、折ったりして短くしている。