王様に逆らった時【完】
保健室について、両手が塞がっている想ちゃんの代わりに、お姫様抱っこをされている状態の私がドアをノックする。
「あら、どうしたの?」
保健室の先生が出てきた。
「こいつバレーボール当たって、立てなくなって。」
「とりあえず入って。」
保健室に入り、ソファーへと下ろしてくれる想ちゃん。
…なんだかすごく名残惜しい。
今まで感じていた体温が一瞬で恋しくなった。
「んー、軽く捻っただけだと思うけど、今日は安静にしててね?」
「わかりました。」
「せんせー!安藤が過呼吸になってる!」
荒々しくドアが開いて、慌てた様子の男子が入ってくる。
まだ6月だけど、だいぶ暑いもんね。
「すぐ行くわ!…立間さん今日は運動しちゃダメよ!筧くん頼んだわよ。」
それだけ言って想ちゃんに湿布を渡して、先生はすぐに出て行ってしまった。
…球技大会の日の先生は大忙しだよね。
こうして残された私と想ちゃん。