王様に逆らった時【完】
…き、緊張する。
想ちゃんは隣に座って、黙ったまま。
「そ、想ちゃんごめんね。」
…試合中だったのに。
「別に、お前のせいじゃないんだし。」
こちらをちっとも見ずに答える想ちゃん。
こう言う時の想ちゃんはいつもよりちょっと優しい。
「でも私がそ、」
「…そ?」
向けられる疑問の目。
危ない危ない。
『想ちゃんばっかり見てたから』って言いそうになっちゃった。
「や、やっぱりなんでもない!」
そう前言撤回すると、少しイラッとしたようなため息をつかれてしまった。
…うぅ、またなんか機嫌悪くなっちゃったよ。
「ありがとうね。」
「…何が」
「想ちゃんはいつも助けてくれるから、」
昔から意地悪してくるのも想ちゃんだけど、何があった時に絶対助けてくれるのも想ちゃんだった。
男子にいじめられて泣いている時、自転車で転んだ時、犬に追いかけられた時。
いつも意地悪な想ちゃんが、少しだけ過保護になって、優しくなる。