王様に逆らった時【完】
「お前が間抜けだからな。」
ふっ、と意地悪な笑顔が私に向けられる。
胸の辺りからきゅんと音が鳴る。
そんな顔ずるい。
「…こう言う時の想ちゃん優しくて…好き。」
「っ、…」
湿布を貼ろうとしてくれている想ちゃんの手がピクっと止まる。
下を向く想ちゃんの表情は見えない。
「あ、ごめん!変なこと言って。」
思わず無意識に出ていた言葉だった。
『好き』だなんて、何変なこと言ってるんだろう。
想ちゃんは何も言わないまま、私に湿布を貼ってくれた。想ちゃんの表情はわからなかったけど、雰囲気が変わったのは間違いなかった。
火照る顔を見られないように、一生懸命気持ちを落ち着かせた。
結局私の怪我はすごく軽かったみたいで、3日位で元に治った。