王様に逆らった時【完】
「おい。」
鼓膜に届いた聴き慣れた声。
その声に思わず振り向く。
「え、そ、想ちゃ、」
そこにいたのは、水着姿の想ちゃんだった。
…びっくりして声が出ない。
「何してんの?」
いつもよりもうんと低い声と、怒りを含んだ表情。
「な、なんでここに。」
「何してんのって聞いてんだけど。」
刺さる想ちゃんからの視線が痛い。
…私何かしちゃった?
「ク、クラスのみんなで来てて…」
「そんな裸みたいな格好して?」
…あ、忘れてた。
でもプールだもん。みんなこんな格好だし。
現に想ちゃんだって、逞しい筋肉を曝け出してるじゃん。
…裸ってなんて破廉恥な言い方。
「立間さん、この人は…?」
置いてけぼりだった佐久間くん。
「あ、あの、幼馴染の筧想太くん。」
戸惑いながら答えると、ハッとした顔をした佐久間くん。
「…筧先輩ってバスケ部エースの、」
学年も部活も違う佐久間くんも知ってるくらいやっぱり想ちゃんは有名な人。
「てめえ、誰だよ。」
眉間にたっぷり寄る皺。
いつになく口が悪い。