王様に逆らった時【完】
やっと手が離れたのは、日陰になっている建物の裏。
「お前どういうつもり?なんで俺の許可なしにこんなところで男と遊んでるわけ?」
気がつくと近づいてくる想ちゃん。
想ちゃんの顔が近くなっていく。
どうしよう。
「お、男の子だけじゃなくて、女の子もいるよ!…今お昼買いに行ってて、たまたまいなかっただけでっ!」
必死の言い訳。
でも本当のことだもん。
想ちゃんが迫ってくるから後ろに下がると、壁に背中がついてこれ以上下がれなくなった。
壁の冷たい感触がする。
「それでこんな格好で、男と二人きりでいるんだ?お前のこと女として見てるやつがいるって考えろよ。」
伏せ目がちに私のことを見下す。
どこか余裕のないその瞳に不安になる。
ち、近い。
少しでも動くと唇が当たりそうなその距離にどうしたらいいかわからなくなる。