王様に逆らった時【完】
「だ、誰も私のことそんな目で見てないよ。」
私のことを好きでいてくれる人なんて、いないよきっと。
…告白だってこれまでもされたことないし。
好きなのはずっと想ちゃんだけだもん。
「男はみんな女のことそんな目で見てんだよ。」
「…、」
『ってことは想ちゃんもなの?』って聴きたかったけど、やめた。
…想ちゃんが私のことそんな風に見ているわけないもんね。
笑われるのが目に見えて、怖くて聞けなかった。
…私は今もずっと想ちゃんにどきどきしてる。
「お前は男のことなんも分かってねえんだよ。だから黙って俺に従ってろよ。」
今まで見たことのないほど揺れている黒い瞳。
不機嫌なその顔。
「…怒ってる?」
「当たり前だろ。ムカつく。」
その言葉だけを残して、私から離れて去っていく想ちゃん。
「待って!想、ちゃんっ」