王様に逆らった時【完】
「これ、」
被せられたものを取ると、想ちゃんがさっきまで手に持っていたラッシュガードだった。
少し濡れていて冷たい。
「それ着とけ。あと男とは近づかないこと。」
謎の命令。
でも従うしかない。
…私にラッシュガード渡したら想ちゃんが焼けちゃうけどいいのかな?
「そ、想ちゃんは誰と来てるの?」
「バスケ部のやつら。…帰る時間被ったら一緒に帰るぞ。」
想ちゃんの指差す先には、バスケ部の人たちが焼きそばを頬張っている姿。
輝明?先輩もいた。
「ど、どうして?」
来たタイミングだって別々だし、バスケ部の人たちと帰らなくていいのかな。
「…荷物持ちに決まってんだろ。」
突然顔を真っ赤にして怒ってしまった想ちゃん。
…これ以上変な質問はしないのうがいいと察した。
また怒らせたくないもん。
「わ、わかった!」
…時間被らなくても、想ちゃんと一緒に帰りたいな。
夏休みなのに会えてすごく嬉しい。