王様に逆らった時【完】


「あ、ごめん。」



謝ったって、数メートル先の想ちゃんにはきっと届いてないだろう。



…はあ。いびきなんてますます女の子として意識してもらえなくなっちゃう。



「想太おはよー!」



元気な声に顔を上げると、想ちゃんと親しげな女の人の姿。



小麦色に焼けた肌、ぱっちりした目に、笑う頬に浮かび上がるエクボ、ポニーテールの髪型、すごく可愛い人だと思った。



「おう。」



クラスメイトなのか、想ちゃんも笑顔で挨拶している。



その光景に心がもやっとする。



…そりゃ、想ちゃんだってこんなずっと下を向いている暗い人より、あれくらい明るい人の方がいいよね。



…下を向いてばかりじゃダメだ。



想ちゃんに見合う女性になるためにも、変わらないとっ。




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