王様に逆らった時【完】
「きょ、今日はどこ行くの?」
そういえば日にちと時間しか聞いてなかった。
「お前行きたいところないの?」
「…へ?私?」
言い出してきたのは想ちゃんなのに、どこか行きたいところがあるんだと思ってた。
「お前の行きたいところでいいよ。」
「え、え、っと」
突然言われても!
何も考えてなかったし、頭が真っ白になる。
「10秒以内に考えて。」
ニヤッと意地悪に上がる口角。
「ええ、」
「じゅーう、きゅう、はーち、なーな、ろーく、ごーお、よーん、」
うう、ひどいよ。
ええっとなんか行きたいところ。
「あ!…動物園!」
先週テレビで見た、トラの赤ちゃんが産まれて一般公開が始まったらしい。
すごく可愛かったから、見に行きたかったんだよね。
「…動物、園?」
キョトンとした想ちゃんの顔を見てハッとする。