王様に逆らった時【完】


「想ちゃん、私がチケット買ってくるからまってて!」



お財布を握りしめて、人混みに入ろうとする。


「俺も行く。」



「え、でも、すごい混んでるから…」


想ちゃんはきっと行列とか苦手だろうし、日陰の涼しいところで待っててくれればいいのに。



…今日はお詫びの日なんだから。



「お前だけで行ったら、小さくて潰されかねないだろ。」


意地悪に細くなる目に、胸が鳴る。



「そ、そんなことないよ。」


小さな声の私の反論は無視して、行列へと入って行ってしまった。



私も急いで隣に並ぶ。



意外と早く進んで、もうチケットを買う番が回ってきた。


無言で大人2枚のチケットを買う、想ちゃん。



「あ、想ちゃんお金!」


さらっとお金出してくれたけど、お詫びなんだから私が全部払わないと!!



「別にいらねーよ。」



「でも今日は私のお詫びなのに、」



「あ?うるさい。」



やけに不機嫌になった想ちゃんに、これ以上はいえなかった。


…やっぱり動物園も行列も嫌だったのかな。

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