王様に逆らった時【完】
「…ほしいのか?」
1日中動物園を回って、帰りに寄ったお土産の売店。
想ちゃんの声にハッとする。
「ううんっ。可愛いなって見てただけ。…お手洗い行ってくるね。」
トラのぬいぐるみのキーホルダー。
すごく可愛いし、なんだか想ちゃんと似てた。
想ちゃんをキャラクター化したらあんな感じだよね。強そうで、凛々しくて。
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「今日、本当にこんなのでよかったの?…お詫びなってないと思うんだけど…」
帰り道、電車を降りて最寄駅から家まで二人で歩く。
「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ。」
どこか嬉しそうな横顔。
今日はすごく楽しかった。
…想ちゃんも同じ気持ちだったら嬉しいな。
「結局お金も想ちゃんが全部出してもらって、ごめんね。」
入場料も、お昼ご飯代も、電車代も、全部想ちゃんが払ってくれた。
「…しつこい。」
その呆れた表情と同時に家の前に到着した。
「ごめん…じゃあね。ばいばい。」
手を振って、自分の家の玄関のドアノブに手をかける。