王様に逆らった時【完】
こんなに目立つような立ち位置に立つのだって初めてだし、不安しかない。
…だけど、
「ちょっと!さくらは、そうゆうの苦手なんだって!」
おどおどとして何も言えない私に代わってまきちゃんが声を上げてくれる。
とっても有り難くて、やっぱりまきちゃんは最強の親友だなぁ。
…でも、私変わりたい。
「ま、まきちゃんっ。…私やってみたい。」
「…さくら本当?」
きょとんと私の顔を見るまきちゃん。
「う、うん。変わりたいの…」
明るくていつも笑顔で、友達に囲まれている女の子になりたい。
「…無理しちゃダメだよ?」
人前に出ることが苦手な私を心配してくれるまきちゃん。
「ありがとうっ」
「よしっ、じゃあ私も全力でサポートするね!」
そう言って背中を叩いていれる。
「王子様役はやっぱり、佐久間だよなぁー?」
後ろの方から聞こえてきた声。
「え、俺?」
「お前分かってて、立間さん推薦しただろ〜」
色んな人からの冷やかしが入る。
…佐久間くんは私とシンデレラやりたかったってこと?
「ち、ちげーよ!」
顔を真っ赤にして、否定する佐久間くんに笑いそうになる。
結局王子様は佐久間くんに決まって、これから1ヶ月にも及ぶ猛練習の日々が始まる。