王様に逆らった時【完】
「…想太、その子は?」
可愛い先輩の目線が私に向く。
くりくりのお目目と視線が合う。
「あー、…一年の立間さくら。」
突然低くなる想ちゃんの声。
…そんなに私のこと紹介するのが嫌だったのかな。
「え!?この子が!?噂の幼馴染ちゃん!?超可愛い!!!」
近づいてきた先輩に肩を掴まれて、圧倒される。
…なんだかすごく興奮してるけど、噂のってどういうことだろう。
まさか想ちゃんといつも一緒に登校してるけど、地味で根暗が理由ですごく噂しれてるとか!?
「…は、はじめましてっ」
「私、幸村みなみ!よろしくね!」
幸村先輩っていうんだ。名前までとても可愛い。
ずっと興奮しているのか、掴んだ肩を離してくれない。
「おい、やめろよ。」
困っている私を見て、想ちゃんが幸村先輩の手を掴み、私から距離を取らせる。
幸村先輩の手を握る想ちゃんに、思わず目を逸らす。