王様に逆らった時【完】
「なーにーさー!女の私にまで嫉妬しなくていいじゃん!」
あっかんべー、と想ちゃんを威嚇するような態度をとる幸村先輩。
「チッ、うぜえ。」
会話に私が絡むと途端に不機嫌になる想ちゃん。
さっきまで普通だったのにな…
「想太こんなんだけど、さくらちゃんのことだいっ、」
何か言いかけた幸村先輩の口を想ちゃんが手で押さえつける。
「てめえ、黙れ。」
「んーゔー!」
ジタバタと暴れるけど想ちゃんの力には敵わないみたい。
…なんて言おうとしたんだろ。
「お前先帰ってろ。俺はこいつと一緒に輝明探して帰るわ。」
「わ、わかった。」
幸村先輩の口を塞いだまま、私からカバンだけ受け取り、また来た道を引き返していく想ちゃんと幸村先輩。
大きく手を振ってくれる幸村先輩に小さく会釈する。
…想ちゃんと幸村先輩の距離近かったなあ。
口塞いでる時なんて、ほとんど後ろから抱き締めているのと変わらない距離感。
側から見たらカップルだと思うくらいお似合いだった。
…想ちゃんがすごく遠く感じる。