王様に逆らった時【完】
無事劇は終わり、幕が降りた。
『よかったよ』と声をかけてくれるみんなに軽く挨拶だけして、ドレスのまま体育館を出て想ちゃんを探す。
裾を引き摺らないように捲りながら、走る。
人がたくさんいる渡り廊下、想ちゃんの後ろ姿を見つけて思わず声をかける。
「想ちゃんっ」
振り返った彼は、今までにないくらい不機嫌な表情。
「どういうつもり?シンデレラ役なんて聞いてないんだけど。」
その目で捉えられると離すことができない。
…なんでそんな不機嫌なんだろう。
その理由が聞きたくて、どうして最後まで観てくれなかったのか聞きたくて追いかけてきた。
「い、言おうと思ったんだけど、タイミング逃しちゃってっ、」
「毎日会ってたのに、なんだよそれ」
正論すぎて、何も言い返せなかった。
「ご、ごめんっ」
シンデレラの格好をしたままのせいか、周りの人たちの視線が刺さる。
「なんでお前は俺に逆らうわけ?」
苦しそうに歪む綺麗な顔に、胸が締め付けられる。
「逆らってなんて、」