王様に逆らった時【完】
「逆らってんだろ。俺の許可無しに、人前に立って。」
「…っ、」
想ちゃんは私のことなんて何とも思ってないはずなのに、どうしてこんなに怒るんだろう。
…やっぱりブスすぎて、人の目にも触れさせたくなかったのかな。
「ほんとありえない。」
落とされる言葉に心が痛くなる。
…想ちゃんの隣にふさわしい人になりたいなんて、無理だったんだ。
「ごめ、」
こんなドレス着て、綺麗にしてもらって恥ずかしい。
「お前は何もわかってないんだな。」
「へ?」
「お前はっ、俺がお前のこと好きな可能性とかこれっぽっちも考えたことねえのかよ。」
今にも泣き出しそうな、そんな表情。
大きく揺れる瞳。
…意味がわからない。
「えっ?…そ、んなわけっ、」
そんなわけないよ。
「…あっそ。そうだよな。」
悲しそうな表情のまま、去って行ってしまった想ちゃん。
追いかける勇気も、体力もなくて、廊下に立ちすくむ。