自己喪失の救済

　少女は月に一度カイロプラクティックの施術を受けながら、次第に学校へ通う回数を増やしていった。
　そうして中学三年の頃には、夏休みより後にはほぼ休むことはなくなった。
　以前彼女は他者と関わることで自身が傷つくことを恐れ、孤立する道を選んだが、この頃にはもう後ろ指を指されているような感覚は持たなくなっていた。
　ただ一人でいるという空間や状況が学校や教室という環境の中では最も心地が良かったのである。
　こうして少女は高校へ進学する。
　高校の間もカイロプラクティックの施術を受けつつ学校に通っていたが、ある日クラスメイトとの小さな出来事がきっかけで、またしても少女の不登校が始まる。