自己喪失の救済

結: 記憶の中で

 少女の中には間違いなく怪獣がいた、あるいは長い間眠っていた怪獣が目覚めた。
 この怪獣の存在自体は「悪」ではなく「自然」だ。
 人間誰しもダークな面は持っている。
 既に怪獣の囚われから復活した少女は、長い間その怪物の存在を「学習」と捉えて、感謝していた。
 しかし、その怪獣の内実を見ようとはしなかったのである。
 この機会に際し、少女は拙い記憶の中で断片的な情報をかき集めて怪獣の正体を検討した。
 結論、あの怪獣も少女自身であるのだ。
 天真爛漫な少女の像と同じように、凶暴な怪獣もまた少女の像であるのだ。
 怪獣はときに、彼女自身が傷つくことを防ぐ防衛戦としても働いた。
 
 最後に今は亡き怪獣に伝える。
 今まで、あなたのことを過去の一部としか扱わず、忘れようとしていたことを謝り、一時は少女の防衛戦として戦ってくれたことと少女自身に学びをもたらしたことを感謝しよう。
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