子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 次の日。

 出勤しても隣に彼はいない。今日は有給休暇だ。

「そういえば竜神さん、初めての休暇ね」

 水咲先輩に言われてそうだと気づいた。

「うっかりしてました。ちゃんと有休使わないといけないですもんね」

 休むのも仕事のうちだ。総務は注意する立場なのに彼は今まで一日も休んでいなかった。

「そういう円花ちゃんも取り足りていないわよー」

「えへへ、そうですね。後で連休でも取ろうかな」

 妊娠で体調を崩すときもあるだろうし。

 今日は有能な彼がいない分なにかと忙しい。細々とした仕事を片付けているうち、内線電話が鳴った。

「はい。総務です」

 出ると秘書課からだった。

『すみませーん。クリアファイルが残り少なくてり持ってきてもらえますか』

「わかりました。A4を百枚、ひとケースでいいですか?」

『はーい。それでお願いします』

 秘書課か。気が重いがそう言っていられない。

 電話を切ると水咲先輩が「秘書課?」と、聞いてくる。

「はい」

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