子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
ストレスは胎教に悪い。
気にしない気にしないと、呪文のように唱えながら秘書課に行った。
エレベーターを降りて廊下に進んでも、秘書課の部屋に入っても、時野さんの姿はなかった。
クリアファイルを届け、無事何事もなく戻ろうとしたとき――。
廊下に出るなり時野さんに会ってしまった。
「あ、ちょうどよかったわ円花ちゃん、聞いて聞いて」
時野さんが私の手を取り給湯室に引っ張っていく。
書類破棄の件があってから、私をずっと無視していたのに。いったい何事なのか。
給湯室に入るなり彼女は満面の笑みを浮かべた。
「私ね、退職するかもしれないの。婚約するから」
「そうなんですね。おめでとうございます」
「円花ちゃんにはお世話になったから内緒で教えてあげる」
時野さんは、手を口の前にして私の耳に囁いた。
「お相手はこの会社の御曹司、疾風さんよ、まさか、竜神さんがここの御曹司とはねー。聞いたときは驚いたわ」
――え?
気にしない気にしないと、呪文のように唱えながら秘書課に行った。
エレベーターを降りて廊下に進んでも、秘書課の部屋に入っても、時野さんの姿はなかった。
クリアファイルを届け、無事何事もなく戻ろうとしたとき――。
廊下に出るなり時野さんに会ってしまった。
「あ、ちょうどよかったわ円花ちゃん、聞いて聞いて」
時野さんが私の手を取り給湯室に引っ張っていく。
書類破棄の件があってから、私をずっと無視していたのに。いったい何事なのか。
給湯室に入るなり彼女は満面の笑みを浮かべた。
「私ね、退職するかもしれないの。婚約するから」
「そうなんですね。おめでとうございます」
「円花ちゃんにはお世話になったから内緒で教えてあげる」
時野さんは、手を口の前にして私の耳に囁いた。
「お相手はこの会社の御曹司、疾風さんよ、まさか、竜神さんがここの御曹司とはねー。聞いたときは驚いたわ」
――え?