子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 装花を誰が決めているのかなんて私にはわからない。意見したところで通るとは思えないが、なにかのついでに一応課長には伝えておこう。

 コーヒーを飲みながらひと息ついて、目の端で右側の席にいる竜神さんを見た。

 彼は、上品か下品かと言えば、紛れもなく上品な人である。

 漂う雰囲気や佇まいが違う。

 ブランド物には疎い私でも、彼の身に着けるものが安物でないのはわかる。バックも高そうだし、スーツやシャツだって変な皺がついたりしない。靴だっていっつも新品のように輝いている。

 上品というよりも高級品というか――なんだろうこの、全身から漂うラグジュアリー感……。

 ん? そういえば竜神さんが使っているあのペン。
 あれだって私が使っているような一本百円くらいの会社の備品のボールペンじゃない。

 それに、いつも持ってくるコーヒーボトル。あれもなんだかお洒落だ。ボトルの中のコーヒーは、さぞかしこだわった美味しいコーヒーに違いない。

 そんな彼だからロビーの花が気になるんだろう。

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