子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~

 キレる俺を父は鼻で笑った。

『冷静になれ。円花の話しはともかく、どんな不都合が起きた? 辞めていった社員は結局彼女に負けただけだろう? 悪であろうが彼女は秘書課をうまくまとめている。すべては結果だ。違うか?』

『悪影響しかない。すぐにでもクビにすべきだ』

『だからどんな悪影響があるのか具体的に言ってみろ。今の秘書課にどんな問題があるというんだ』

『それは周りのフォローがあったからだろ?』

 父もわかっているはずだ。
 藤原専務もあえて時野を身近において監視しているのだから。

『フォローで済むならそれで結構。お前は甘い。人柄だけでなにができる。男も女も強者が勝つだけの話だ。愛だの恋だのとうつつを抜かし、目が曇ってるんだろうバカ者め』

 なにを言っても父は耳を貸さなかった。

 時野は自分以外の者がイジメをするのは許さない。唯一無二の女王気取りでいる。

 他人に仕事を押しつけようが新人を追い出そうが、結果的には問題なく潤滑に回っている。それゆえに秘書課長も父も目を瞑っている。

 表に出ないだけで、時野が陰でなにをしているかわかったもんじゃないが、具体的な理由もなくクビにはできないのが現実だ。
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