子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
仁さんはバーテンにボトルを開けるよう伝え、自身もカウンターの中に入る。
新しいグラスに大きな球体の氷をひとつ入れ、開けたバーボンを注ぐ。
「はい、どうぞ。これうまいぞ」
「サンキュー」
喉を潤してひと息つく。
「うまい」
悲しくなるほどうまいよ、仁さん。
「女の子には優しくしないと」
言われなくてもわかっているさ。
「逃げるのを黙って見送れないでしょ」
「そこを逃がすんだよ。生け簀にね」
クスッと仁さんは笑う。
「なにも本当の海に逃がす必要はないでしょ」
「食えない男だな」
「だてに女ったらし、してないし」
あはは。確かにな。
それでも俺は円花が逃げるのを黙って見つめるなんてできない。
円花はひとりなんだ……。
新しいグラスに大きな球体の氷をひとつ入れ、開けたバーボンを注ぐ。
「はい、どうぞ。これうまいぞ」
「サンキュー」
喉を潤してひと息つく。
「うまい」
悲しくなるほどうまいよ、仁さん。
「女の子には優しくしないと」
言われなくてもわかっているさ。
「逃げるのを黙って見送れないでしょ」
「そこを逃がすんだよ。生け簀にね」
クスッと仁さんは笑う。
「なにも本当の海に逃がす必要はないでしょ」
「食えない男だな」
「だてに女ったらし、してないし」
あはは。確かにな。
それでも俺は円花が逃げるのを黙って見つめるなんてできない。
円花はひとりなんだ……。