子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「そっか」
毛色の違う生徒がどんな仕打ちを受けるか。青扇学園という王宮で、俺も仁さんも幼い頃から嫌というほど見てきている。
「本人が覚悟してくれないと、四六時中守れるわけじゃありませんからね」
その通りだ。もちろん俺は全力で守るつもりだが、まずは円花が腹をくくらない限りどうしようもない。
円花は芯の強い女性だ。
孤独を感じさせない彼女が弱いはずがないんだ。
なのに腹をくくれないのは、なぜなのか。
彼女の気持ちがわからない。
「もしかして疾風の初恋なんじゃないか? 作業員をしてた頃からだしなー。ここに来るたび、ずっと彼女の話ばっかりしていたし」
「そうだったか?」
「そうだよ。最初は迷惑がってたけど、やたらメンテナンスの仕事に興味を持ってくる女の子がいるって」
あ、言われてみれば確かに。
視線を感じると円花が見ていた。俺をというよりも、作業そのものを。『それは何キロあるんですか?』とか聞いてきたりして。