子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~

「作業員の中で、彼女は美人な上に感じのいい子だって評判になって、そのうち疾風も気になり始めたんだよ、確か」

「よく覚えてるな」

「そりゃ、覚えてるって。クリスマスに彼女から、ちっこい傘の形チョコを一個もらったってすげー喜んでたし。女に冷たい疾風がオモチャみたいなチョコ一個で」

 仁さんは思い出したように吹き出して、ゲラゲラと笑い出した。

 そうか、去年の冬にはもう俺は円花が好きだったのか。

「ウォーターサーバーの水担ぎながら、いつの間にか彼女を探していたんだよなぁ」

 彼女の顔を見れるとうれしかった。総務課のある三階のリフレッシュコーナーはたっぷりと時間をかけてみたりして。

 彼女が孤独だなんてまったく知らなかった。

 幸せな家庭で愛情に包まれているとばかり思っていたから。

「力強くじゃ、ダメなんだよな……」
 強引にキスをして俺の力であいつの壁をぶち破ってやろうと思ったが、それじゃダメなんだ。

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