子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 藤原専務は、社長は人が悪いですからね、と笑っていた。

『桃井さんなら辰上家のいい女主人になれますよ』

 期待に添えるかどうか自信はないけれど、自分なりにがんばろうと思う。



 楽しい公園でのランチが終わり、席に戻ると疾風さんが私を振り向いた。

 心配かけないよう元気アピールを兼ねてにっこりと微笑む。

 私の妊娠を知り、過保護に拍車がかかった彼は、少しでも私の顔色が悪いと大騒ぎをするから大変なのである。

 安心したのか、彼は目もとを綻ばせて「営業部に行ってきます」と席を立った。

「了解です」

 永遠に隣同士で仕事ができたらよかったのになぁ。

 そうはいかないのが残念だ。

 私はひと月後には退職しなきゃならない。

 出産の準備以外にも、マナーやら習い事やら、海外生活を見据えて語学の勉強もしたいと思っている。残念ながらフルタイムのお仕事を続けるのは無理だから。



 仕事帰り、疾風さんとアパートで待ち合わせた。

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