子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
最後に残った荷物を持ち出して、この部屋とも本当にさよならだ。
長いあいだ私のお城だった部屋。
いざとなると名残惜しくて、古びた柱を指でなぞった。
「部屋は狭い方が好きなのか?」
振り替えると疾風さんが悩ましげな顔をしてなにもない部屋を見回している。
思わず笑いそうになった。
新居を考えているのだろう。
「広い方が好きよ? 狭くちゃお客様お呼びできないし」
「ああ、そうか。それもそうだな」
「その代わりお願いがあるの」
お願いと聞いて疾風さんは目を輝かせる。
「なんだ?」
「ハウスキーパーさんを雇ってほしいの」
うんうんとうなずきながら真剣に耳を傾ける彼に、私は考えつくかぎりのわがままを言う。
「それから、お庭は子どもが遊べるように夏はビニールプールを広げられるだけの芝生があって――寝室は」
彼は警戒の色を見せる。
「疾風さんと一緒がいい。寝室を挟んで、あなたの書斎と私の部屋が」
話は途中なのに、彼は私を抱きしめる。
「それで?」
ふふ。うれしそう。
長いあいだ私のお城だった部屋。
いざとなると名残惜しくて、古びた柱を指でなぞった。
「部屋は狭い方が好きなのか?」
振り替えると疾風さんが悩ましげな顔をしてなにもない部屋を見回している。
思わず笑いそうになった。
新居を考えているのだろう。
「広い方が好きよ? 狭くちゃお客様お呼びできないし」
「ああ、そうか。それもそうだな」
「その代わりお願いがあるの」
お願いと聞いて疾風さんは目を輝かせる。
「なんだ?」
「ハウスキーパーさんを雇ってほしいの」
うんうんとうなずきながら真剣に耳を傾ける彼に、私は考えつくかぎりのわがままを言う。
「それから、お庭は子どもが遊べるように夏はビニールプールを広げられるだけの芝生があって――寝室は」
彼は警戒の色を見せる。
「疾風さんと一緒がいい。寝室を挟んで、あなたの書斎と私の部屋が」
話は途中なのに、彼は私を抱きしめる。
「それで?」
ふふ。うれしそう。