子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 一次会だけならと少しだけ飲んだつもりだったが、いつになく酔ってしまって、隣の席にいた男性に介抱された朧げな記憶が最後。次に目が覚めたとき、私がいたのは病院で、そしてなぜか私のベッドサイドに竜神さんがいたのである。

『大丈夫ですか?』

 そして、私の体から睡眠薬の成分が検出された……。

 私は睡眠薬を飲んだことはない。
 誰かに薬を飲まされたのだ。一度トイレに行くのに席を立っているから、その間に多分、合コン参加者のうちの誰かがグラスに薬を入れたんだと思う。



「あのときは本当にありがとうございました。そういえば、竜神さんはどうしてあの場に?」

「言った通り。偶然、通りかかっただけですよ」

「偶然、ですか」

「すぐ近くに友人の店があるんでね。そこに向かう途中でした。とにかく、秘書課の時野には気をつけたほうがいい」

 え、いきなり〝時野〟って呼び捨て?

「どうしてですか? 時野さんはいつも優しくしてくれていい先輩なんですよ?」

「桃井さん、君はバカなのか」

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