子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 私をバカ呼ばわりした竜神さんは呆れたように、溜め息をつく。

「いい先輩が、どうして酔いつぶれた後輩を、よく知りもしない男に介抱させるんですか。しかもその中の誰かに睡眠薬を飲まされているんですよ? 犯人は時野かもしれない。あのとき俺が見かけなかったら――。わかってるのか? どれだけ危険な状況だったか」

 しまいには敬語を忘れた竜神さんは、本気で怒っているのだろう。

 でも、私だって言われなくも恐怖は身に沁みている。

 思い出すだけで背筋がゾッとして、今も鳥肌が立っている。とれほど危険だったか十分に理解しているつもりだ。

「――すいません……本当にありがとうございました」

「あの女が仕組んだに違いない」

「え! それは言い過ぎですよ。私が飲み過ぎちゃったのがいけないだけです。それに時野さんは用事があって先に帰っちゃったみたいだから、私がそんな事になってるなんて知らなかったんですってば」

 私のせいで時野さんの評判を落とすのは申し訳ない。

 誤解だけは解いておかないと。

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