子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「時野さんは、なにも知らないからこそ、昨日だって普通に仕事を頼んできたんでしょうし」

 彼女が関係していたらそんな態度はとらないはずでしょう?

「いいですか、桃井さん? お人よしもほどほどにしないとただのバカだぞ」

 そう言われても。

「あの合コン相手は、どこのやつらだったんですか?」

 確か時野さんのお父さまの会社関係の人だった。

 でもそれを言ったら益々竜神さんは彼女を疑うだろう。

「えっと。よく覚えていません。そもそも私は合コンだって知らなかったし」

「ほらみろ、やっぱりあの女に騙されたんじゃないか」

 竜神さんの眉間の皺は一向になくならない。というかむしろ深くなるばかりだ。

「あの、もしかして、私に話があるってこの件なんですか?」

「そうですよ。会社で話をしようにも、あの女のスパイがどこにいるかわからないし」

「スパイ? やだ、映画の見過ぎですよ」

 あははと笑うと、またしても睨まれた。

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