子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「電球の交換を経験しないで、よく今まで生きてこれましたね。竜神さん、やっぱり相当なお坊ちゃまでしょ」

 廊下を進みながら軽く軽蔑の眼差しを送った。

「桃井さん、俺が電球の交換ごときで一緒に行こうと誘ったと本気で思っているんですか?」

「え、ほかに理由があるんですか?」

「探りに行くんですよ。桃井さんはしばらくの間、ひとりで秘書課に近づかない方がいい」

 あははと思わず笑う。

「社内ですし、なにもありませんって」

「甘い」

 いえいえ、あなたが用心深いだけですよ。

 っていうか、そう思うならなおさらひとりで済ませてくれればいいのに。

 ぶつぶつ言い合いながら秘書課と役員室が並ぶフロアに到着し、廊下を進んでいくと、秘書課の女性たちがにこやかな笑みを浮かべて歩いてくる。

「こんにちは」

 彼女たちが熱い視線を送る相手は、もちろん私ではなく竜神さんだ。

 なのに竜神さんは冷笑を浮かべて挨拶を返す。

「お疲れ様です」

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