子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「あれ? 普段厳しいのに今日はやけに優しいですね」

「心配だからだよ」

 竜神さんが私をじっと見る。

 しっかりと目が合ってドキッと心臓が跳ねた。

 慌てて目をそらし、ごまかすようにカクテルを飲む。

 イケメンは目の保養であると同時に目の毒だ。うっかり好きになってしまわないように気をつけないと。

「買いかぶりですよ、私そんなに」

「お前は人がいいし、純粋だから気が気じゃない」

 竜神さん……。

 どうしてそんなに優しいんですか。

 弱っているときの優しさは罪だ。

 心を弱くする。

「私、疑り深いし弱くなんてないです。そんなに心配してくれなくても」

 竜神さんが強すぎるだけ。

「第五営業部の部長にも『桃井さんはキツいな』って言われるんですよ? これでもしっかり者の桃井さんで通っているんたけどな」

 弱いのがぱれないように、がんばっているつもりなのに……。

「大丈夫だ。桃井、お前は純粋なだけで決して弱くはないし、しっかり者だ。――今は特別だろう?」

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