子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「あっ、私が」

「それは、またの機会な」

 え、またがあるんですか?
 だとしたらうれしいなと、心が喜んだ。

 竜神さんといるのは凄く楽しい。お兄さんみたいで素の自分でいられるから。



 店を出ると、竜神さんは手を挙げる。

「え、タクシーで移動ですか?」

「酔っ払いにはその方が楽だろ? さっき足もとがぐらついていたからな」

 あ、バレてたか。

 ふわふわ雲の上を歩いているような感じ。気持ちいいけれど、この調子で歩いていると簡単に転んじゃいそう。

 ふふ、完全な酔っぱらいだよね。

 ついさっきまで泣いていたのに私ったら変だ。

 彼の方はシャキッとしていて、いつもとまったく変わらない。タクシーに乗って竜神さんに聞いてみた。

「竜神さんは本当にお酒強いんですね。私より飲んでるのにー」

「飲んでも飲まれないんでね」

 あはは。竜神さんたら笑える。

「さすが無敵!」

 呆れたように笑う竜神さんが一緒なら安心できる。下心なんてあるわけないし。

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