子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 ゆったりとソファーに座っているプライベートの彼は、やけに色っぽい。

 私やっぱり相当酔ってるな。

 相手が竜神さんとはいえ、男性の独り暮らしの部屋に入り込んでしまうなんて、会社の男性とは距離を置くというポリシーに反している。

 今夜だけとはいえ気をつけないと。うっかり心を奪われたら大変だ。

 彼を見ないようにしなくちゃね。

「綺麗に片付いてますね」

 気を取り直して見まわすリビングは、モデルルームのように美しく片づいている。

「実はハウスキーパーを頼んでる。家事は苦手でね」

「もう、どんだけセレブなんですか」

 彼はおどけたように肩をすくめるが否定はしない。

 高級品を身につけて、タワマンのペントハウスに住んでハウスキーパーを頼む。

 TATUはいくらお給料がいいといっても、この若さでこんな暮らしができる人はごく一部じゃないのかな。

 不意に立ち上がった竜神さんは、冷蔵庫のようなワインセラーからボトルを取り出し、新しいグラスを持ってきた。

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