子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
「ご、ごめんなさい。あんまりにも驚いたものだから」

 聞き違いじゃなければ、とんでもない提案をされた気がする。

「子どもがほしいんだろう?」

 ハッとした。

 どうしてそれを竜神さんが知っているの?

 誰にも言っていない秘密の願いなのに。

「『私は一生ひとり。せめて子どもがいれば違うのに』覚えてないか?」

 そんな……。

「あの日、時野に食事に誘われたって水咲さんに話しているのを聞いてな。嫌な予感がして様子を見に行ったんだ」

「じゃあ、友だちの店に飲みに行く途中だったっていうのは」

「それも本当だ。友人の店はあの店の目と鼻の先にある」

 竜神さんは目にした一部始終を話してくれた。

 彼は最初からなぜか時野さんをよく思っていない。彼女が目的もなしに私を食事に誘うとは思えなかったという。

 そして向かった先で、竜神さんは店から出てきた私と出くわした。

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