子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 私は男ふたりに両脇を抱えられるようにして、ふらふらで、とてもひとりでは歩けない状況だったらしい。
 とてもただ酔っているようには見えなかったそうだ。

「どう見ても異常だった。やつらからお前を引き剥がし、『彼女になにをした』と詰め寄った。男ふたりは『介抱してやっただけですよ』とヘラヘラしていたが、俺がこのまま警察へ行こうと桃井に声をかけた隙に慌てて逃げていったよ」

「そうだったんですか……」

「お前は俺の背中でこう言ったんだ『リュージンさん、私、子どもが欲しいよ』ってな」

「えっ、私そ、そんな」

 隣に移動してきた竜神さんは慌てる私の肩を抱く。

「俺は早々に結婚する必要があるし、お前は子どもをその手に抱く。どうだ? いい話だろう?」

「で、でも」

 子どもはキャベツから生まれるわけじゃないから。
 私は経験もないですし。

「欲しいんだよな? 家族。子ども」

「それは……」

「子どもに父親がいて困らないだろう? どうしても嫌なら離婚すればいいし」

「離婚、前提、ですか?」

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