子作り婚の行方。～年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋～

「というか、お試し結婚だよ。仮に離婚しても養育費という形で俺は責任を取れる」

「でも、離婚しては社長の条件が」

「社長は離婚に寛容なはずだ。なにしろ何度も離婚してるらしいからな。今の奥さんは四度目らしいし」

　四人目とは、それも凄い。
　確かに離婚には抵抗なさそうだ。

　とは言っても、結婚なんて。

「なら、子どもができたら入籍するというのはどうだ？」

　え？

「ただし、子どもができないから結婚しないという中途半端な関係もよくない。どっちにしてもキリよく年明けには結婚しよう。それまで半年以上ある。一緒に暮らせば無理かどうかわかるだろう？」

　半年間のお試し期間。確かに半年あれば、決められると思う。

　ここで暮らして毎日一緒に食事をして、おはよう、おかえりって……。

　私の家族。

　子どもがいて賑やかで。ときどき竜神さんに叱られて。

　このモデルルームみたいな素敵な部屋で、優しくて頼もしい竜神さんが、私の家族になってくれるの？


「涙を拭くくらいは、俺にもできるぞ？」

　竜神さんが親指の指先で、私の頬を拭う。