子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~

***



 気だるさとともに目覚めた朝。

 真新しい洗剤の香りがするシーツは、つるつるとした手触りで気持ちいい。

 目を閉じたまま大きく息を吸うと、別の香りが鼻腔をくすぐる。

 心を惹かれる魅惑的な、香水のような。

 でも、私のベッドのシーツはこんなふうにひんやりとはしていないはず。この匂いだって……。

 そこまで考えてハッとして目を開けた。

「おはよう」

「あっ」

 ベッドに横たわり、片肘を立てた竜神さんが、にっこりと微笑む。

 咄嗟に跳ね起きて剥き出しになった自分の胸にギョッとする。

「きゃ」

 クスッと笑った彼は、私の唇にチュッとキスをしてベッドから出た。

「コーヒーを淹れるよ」

 裸かと思って目を逸らそうとすると、彼はしっかりとパジャマの下を履いている。

 ずるい。自分だけ着てると思ったらバスローブを手渡された。

「先にシャワーを浴びていいよ」

「ありがとう……」

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