子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
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気だるさとともに目覚めた朝。
真新しい洗剤の香りがするシーツは、つるつるとした手触りで気持ちいい。
目を閉じたまま大きく息を吸うと、別の香りが鼻腔をくすぐる。
心を惹かれる魅惑的な、香水のような。
でも、私のベッドのシーツはこんなふうにひんやりとはしていないはず。この匂いだって……。
そこまで考えてハッとして目を開けた。
「おはよう」
「あっ」
ベッドに横たわり、片肘を立てた竜神さんが、にっこりと微笑む。
咄嗟に跳ね起きて剥き出しになった自分の胸にギョッとする。
「きゃ」
クスッと笑った彼は、私の唇にチュッとキスをしてベッドから出た。
「コーヒーを淹れるよ」
裸かと思って目を逸らそうとすると、彼はしっかりとパジャマの下を履いている。
ずるい。自分だけ着てると思ったらバスローブを手渡された。
「先にシャワーを浴びていいよ」
「ありがとう……」