子作り婚の行方。~年上で暴君な後輩と、私の秘密の恋~
 そろりと起き上がり、早速バスローブを羽織ってベッドから下りる。

「つらくないか?」

 抱き寄せるようにして聞く彼は、どこがどんなふうに痛いのかまるでわかっているようで、途端に恥ずかしさが込み上げる。

「ごめんな。初めてだったのに無理させちゃって」

 彼は私を抱えるようにして額にキスを落とす。

 そう。私はバージンだった。キスさえもこれまで経験がない。

 自分からキスしたくせに上手くできなくて彼に笑われた。『震えてる』って。

 私が初めてだと、最初からわかってしまった。

「バスローブ、やっぱり大きいな」

 言われて手を上げると指先しか出ていなかった。

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